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ばかになってきたワイヤレスイヤホン/ 2022年1月25日(火)

アマゾンにはほんとうにいろんなものが溢れている。お風呂に浮かせるあの黄色いアヒル(僕はその場面に立ち会ったことはないが…)5万羽セットや、わら人形なども売っているらしい。もちろんそんなものは買わないが、薬局やスーパーで調達するにはちょっと面倒な日用品とか多い量の飲み物を買うのによく活用している。

そこで買ったもので特によかったなと思うのがワイヤレスイヤホンである。字の如くイヤホンの紐のないワイヤレスイヤホンはもはや市民権を得ていて、そんな便利なものも2,000円を切るものから上は30,000円以上するものがアマゾンで買える。僕はもうかれこれ3年前以上前くらいになるか、2990円のものを選んで今まで使っている。それはたまにアマゾンでやっている特価セールのもので、元値は忘れてしまったが(多分4000円は切っていた気がする)これが想像を遥かに超えて保っている。結果的にほんとうに素晴らしくて、何も困ることはない。AirPods Proの音質や遮音の優秀さを自慢げに語る大杉ちゃん(仮名)にこれで試しに聴かせてみると、これが3000円…といって言葉を失い、10分くらい黙りこんでしまった。

少年期、iPodは高価であるが故に買ってもらえなかった自分は「ウォークマンの音質が好きだ」とことあるごとに吹聴してきた。どこが優れているかなど聞かれてもいないのに話すうざいやつだった(うざいやつというのは今でも変わらないです)。高校生のころやっとの思いで2万円弱する、当時発売したものではほんとうにスペックの高かったウォークマンは使って1ヶ月くらいのある時教室で盗まれてしまった。ショックのあまり学校へも1週間登校できずに毎晩涙で枕を濡らして・・・それ以降ショックのあまり以降は真っ赤な嘘です。どんな風の吹き回しかもわからない親の機嫌でiPhone4sを与えてもらえることを契機に、ウォークマンのことはすっかり清算されてアップルの方にあっさりと寝返った。

とまあイヤホンの話に戻る。小学生の頃にウォークマンを持たせてもらって以降、イヤホンをよく失くしてきた。このイヤホンだって、大人になっても服と一緒に洗濯してしまい、充電ができなくなって3日経ったが突如復活した。他にも自転車走行中に片方を落としたと思って途方に暮れ、ある日突然ズボンのポケットから「やあ」という感じで姿を見せた。ケースそのものが充電の土台になっているのだけど、落とした拍子にカバーが壊れ、立て続けにイヤーピース(ゴムの部分)をどっかに落としてしまったが、それ専用の替えのピースは捨ててしまったなと思い、さすがに買い換えるかとアマゾンを見ていたら、翌日どこかからかそれ専用ではないがいい具合のイヤーピースが出てきてそれを代用した。そんなこんなで、彼はいろんな形の苦難を乗り越えてきた。財布や名刺ケースでさえ失くしてしまう自分にこの事実はまさに僥倖(ぎょうこう)という他ない。

ただやはり、ものには寿命があるのか、物づかいが荒い僕のせいか、この頃こいつは調子が悪い。Bluetoothが繋がりにくかったり(これはもしかするとiPhone側にも問題があるかもしれない)、充電の減りほんとうに早くていちにちの町歩きには保たない(これは音量が大きい僕のせいかもしれない)。そろそろお役御免になるかなと思いながら今日も携えている。

使っているイヤホンをやたら贔屓目に「よい」といったものの、音質なんかも含めてどれもこれも機能差はほとんどないんだろう。ものが溢れかえっていると言われて久しい現代だけれど、もちろんポジティブな意味で、正直なところ何を買ったって同じなのだ。もちろん通販商品の中にはタチのわるい粗悪品もあって、ネットに悪口というか本音を書きたくなるものもある。でもそれは、便利に対する代償である。やや乱暴な言い方になるが、お店に行く労力を正しいものを選ぶためのコストと考えずにカットするのなら、仕方あるまいと(自分の中では)基本的には考えている。それでもなお悪いものが届いた場合には、遠慮せず突き返して代金を返してもらおう。有形のものであれば大概どうにかなります。あとちゃんと、説明や口コミは目を通そう。

それで、使い古された言い回しであるけれど、ものに必要なのは、そのメーカー元のイメージであったり、誰がどんな風に作っているか(開発しているか)であったりのストーリー性であったりする。スーパーに並んでいる野菜や米だって、その農家のプロフィールやどんな思いでそれらを育てているかなんて書かれたら、無視するわけにいかない。僕たちは結局のところ「もの」そのものに対してと思いきや、目には見えにくい抽象的な「こと(体験)」に対してお金を払っているのだと思う。(社会)貢献とか言いたいのではない。

といいつつ、僕は何も考えず衝動的にこのイヤホンを買い、使っている。充電ができなくなるまでは使おうと思います。