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売り言葉に買い言葉―出自と方言に関する雑記

 すこしだけ思うところがあったので、出自と方言に関することをまとめました。論点はズレてるかなと思いますが、まぁ議論でもないしな、と。

 僕の周りに関西出身の人が多くて、彼らはすごい存在感を示してる。そんな彼らは彼らの話し言葉を(本当かわからないけど)標準語だと思ってる。その癖に、と言ったら怒られそうだが、大きく見て西日本でない人たちの話す「エセ関西弁」にはえらく当たりがきつい(笑)。でも寛容な人もそれなりにいて、笑って突っ込んでくれる。そこはそうやなくて〇〇やで、みたいな。そういうのは、お堅く言うと「コトバがアイデンティティとして存在してる」とか、言うんだろうけどどこまでがほんとうかは怪しい。

 人には印象やイメージがあって、どこどこ(出身)の人はいかついとか、あそこは穏やかそうだとか平気で言う。バラエティなんか見てると露骨にそうやって取り上げられるので、ちいさいころからそれが当たり前なんだと思って育つ。すごいバイアスがかかっている。画面の中では、関西弁を話す芸能人は笑ってもらえて、博多弁の人は貴重がられ重宝される。反対に、東北全般の方言を話す人は笑われる。「いなかもんだ」と。私たちの入学当初に部全体でやった自己紹介で青森からやってきた友だちは「あおもりからきました」でどっと笑いが起きた。その後の人はとてもやりにくそうだった。彼は去年からフランスに留学してて、とてもモテるらしい。「いじり」としてこっち側は扱ってもらえる。しかしあっちを「いじる」と返り討ちにあったりする。売り言葉に買い言葉ではないけれどいつか殴り合いになるかもしれない。関西弁を話す先輩がいてその人に「なんか、話すだけで面白いですよね」というと「なんでやねん」と言いながら照れてどつかれる。二回ほど飲み会で一緒になったことがあるアンドリューさんは、高校の時アメリカから大阪の学校に留学しに日本にやってきた。それを知らずにわたしたちは飲み進めていた。しだいに、彼に酒が入っていくと、相槌にすごい勢いで「なんでやねん」を連呼するので不思議になった。現在、大手飲料メーカーに勤務しているのでふだん話す言葉は関東圏で言われる標準語らしい。でも、気が緩むと関西弁があふれ出てくるんだそう。英語、日本語、日本語における関西弁の少なくとも三つを流暢にこなすアンドリューさんの人生はそれだけで豊かなんだと想像できる。

 ただ気にしすぎなのかもしれない。わたしの周りが特異な環境なのかもしれない。でも、こういうことはどこにでも起こり得ることで、その目に見えないルールや力関係に悩ませている人がいるかもしれないな、とは思った。そこに「寛容さ」とか「多様性を」と言うつもりはない。でも、ちょっとだけ優しくしてほしいなとは雑感として持っている。下手な英語を話してもだれも怒らないよと、また別のアメリカ人の彼は言った。「日本語って面白いね」とよく笑う彼に英語の訓練に付き合ってもらわなければ。