何を書くか、何を書かないか。

70パーセントはフィクションだと思ってください。

少年が大人になる日 ①

★上司の取材同行のために目黒区の方面に行った。対象者はガンを克服したランナー。ガン克服後、教鞭を執っていた金沢から東京へ移住し、今は歯科医を勤めている。明朗快活で表情が非常に豊かな方だった。

ガンに関する取材は今回が2度目。既に乗り越えし大病やこれまでの「ランニング・ライフ」周辺のできごとを聴くのは、生半可な気持ちではやれないと改めて痛感した。たった2時間程度で、もちろん洗いざらいやれないけれど十分である。お腹いっぱい。

私は、ランニングに関する専門誌の編集部にいながら「人間にとってガンとは何か」「ガンを乗り越えて得たものは何か」について深堀りして聴くことになるとは思ってもいなかった。それは予想外であるからこそ楽しい。

 

★誰かにとってのランニングについて知ることは、その人とランニングを結びつけた「もの」や、(長きにわたって継続している人であれば)今でもその人とランニングを結びつけている「決定的な何か」を探ること。きっかけと継続の理由。その間に起こった異変や得られたもの。それはまさしく十人十色。千差万別。

それは、求めている誰かへと橋渡しして届けなければならない。

 

「生の語り」を安易に一般化してはならない。と教えてくれたのは大好きな社会学・生活史研究者の岸先生。経緯は違ったのだが、行きの電車でたまたま岸先生の話すことになった私は嬉々とする。「たくさん勉強してきたんだな」という反応が少しだけ嬉しかったし、何ものからか「救われた」気がした。

上司の自宅は横浜の方面であったから、そこで別れた。17時、日がずいぶんと延びた。ひとりで帰社するために渋谷行きの電車に乗りながらいろいろと考えていた。私は20時まで会社に残り、取材の記録をまとめていた。

「鉄は熱いうちに打て。」・・この頃いつも考えていることです。