「僕」と「私」と「わたし」の記録

87パーセントはフィクションです

みぞみぞ・回転寿司

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昔ネットで見たものに、こんなのがあった。

 

回転寿司では、お茶を作るためこ熱湯の出口がどの席にも設置されている。

 

これをナニコレとスレを立てたものがいて、べつのものがその黒い部分を手で押してみなよ(楽しいことが起こる的なニュアンスで)と分かりきったジョークで唆した。スレ主は素直にそれを手で押した。もちろん熱かった。そののち、お前のせいで火傷しただろ、というコメントが投下された。そこにはありったけの表現で激怒が表されていた。

もちろん、何も楽しいことなど起こらない。

 

恐らくこれは2ちゃんねるか何かから引っ張ってきたものだろう。毎回、寿司屋にいくたびにこのやり取りというか、ネタを思い出してしまう(ネタ、だけに…)。

 

それにこの話はきっと本質的にネタだろうし、いやむしろネタであってほしい。それでもこんなにくだらないことを、割におもしろおかしく笑えるのは、日本独自に根付いた回転寿司の文化なんだからだと思う。

 

 

 

 

学生時代(と言っても数ヶ月前なのだけれど、うたい文句を使うような気持ちで表現すると、この数ヶ月はとても濃ゆくて秒で過ぎていった)の頃、彼女とよく回転寿司に行った。

 

そこで頼むものはほとんど決まっていて、いつもお互いに「無難」で「決まりきった」注文をした。恥ずかしながら学生の頃お金を持ち合わせていなかったので、お勘定は何だかんだで折半。見つけられるだけのクーポンを使った。

 

 

回らない寿司屋にはまだ行けていない。 

 

 

 

この頃よく、学生の時に通ったチェーンの回転寿司屋を思い出す。なぜかいつも雨が降っていた。さっこん回転寿司業界の戦略は綿密で激烈で、とる皿は少なくとも満足させるようにできている。中学高校の頃は、10皿からが勝負だったのに今では5皿で峠を越えた、と思ってしまう。

 

それはきっと、ちょうどいいのではないか。

 

 

 

今日初めて、一人で回転寿司屋に行った。予ねてから試したい気持ちで一杯だったのだが、中々踏み出せずここまで持ち越していた。待ち時間は本でも読みながらと思っていたら案外、そんな時間はない。平日の夜っていうこともあるだろう。楽しく晩餐を終えた。

 

帰る際、生ものっぽい臭いから解き放たれ夏の夜のもあっとした、それはやけに現実味を目一杯に帯びた空気が、どうしてかつくばの冬の、回転寿司屋を思い出させた。

 

そして、それと一緒に「軽井沢」も引っ張り出された。

 

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「暑い」と言い飽きた、というフレーズを使い飽きる頃だが、私は辛抱強く使おうと思う。こんな夏に、ある程度自分の自由がきかないコンディションのなかで僕は目一杯生きていると思う。学生生活の後半はあまりにも1日1日が甘かった。

 

朝一番や会社でて一番の選曲が『カルテット』の『おとなの掟』になるのも、それはそれは寒くて凍え死にそうになった「軽井沢の冬」を実体験したからなんだと思う。あろうことかその「軽井沢の冬」の寒さが恋しくなっているのだと思う。

 

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私たちは『カルテット』のシーズンに軽井沢に出かけた。観光客でいっぱいなショッピングモールや、寂れた旧軽井沢銀座通りやら、やけにうまい蕎麦屋やら、何もかも思い出させる。

 

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電車に乗っていて、会社に出かけていく自分のその存在が信じられなくなる時『カルテット』を思い出す。思い出せそうで思い出せなさそうな劇中の「名言」を思い浮かべながら、坂元さんならこの場面をどう撮るか、どう映すかとか考えてしまう。カルテットは夏を描いていないので、おもしろくは映されないだろう。あれは冬だからいいのだ。

 

こんなに暑苦しい季節に僕は、近いようで遠いような冬に思い馳せている。過去のことは「秒で過ぎ去った」とやすやす言えても、未来に対して「秒で過ぎそう」とは言えないのだ。あくまでもそれは結果論であり、究極の感情論。

 

 

実際にわれわれが軽井沢に行った時、最終話の撮影が行われていた。その現場は軽井沢駅目のまえのアウトレットモール。距離にして2キロ。歩いて20分。撮影は開店前の八時頃。まだベッドでグダグダしていた。満島ひかりと同じ空気を吸いたかった*1。どうやら朝が早いようだ。

 

僕には「カルテット」の批評や解説はできないな。ああ、無理だ。

 

 

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「ハルニレテラス」など雑誌で紹介されるような名所を巡った私たちは、元祖・星野リゾートの近くにある「内村鑑三記念館」や、JRの広告にもなったりしている「星野遊学堂」と呼ばれる教会に行ったりした。実際にメインに撮影された教会にも行ったが中には入れず外観だけを撮った。

 

 

 

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どれもこれも建物の雰囲気だけで、クリスチャンも悪くないと思った(もとより悪いだなんて思っていないのだけれども)。コーヒーやご飯はいつもより数百円ましで、学生だった私たちには痛かったけれど、今でも食べたものなら全て思い出すことができる。古民家風の「御厨」では、枯れ草やら雪の残った山やらを見ながら純・和風な朝ごはんを食べた。湯豆腐が美味しかった。

 

しあわせなひと時を過ごしても尚私たちは合間合間にくだらない喧嘩をした。そして私たちは引っ越しで忙しい時期、お互いを頼りたくても頼れない関係にわざわざした。

 

そう。現に卒業式の日に僕たちは別れていたのだ。今では笑い話だけれども、あの頃は到底そんな風にフランクにやり過ごせなかった。

 

卒業式当日、お互い共通の知り合いである同じ研究室の女の子と一緒に会館の近くではちあわせになった。もう卒業だね、と言った。全く信じられなかった。

 

実の彼女とは学部が違っていたから時間がずれていたが、ちょうど近くにいるということだったのでラインでやり取りをし、われわれは三人で写真を撮った。笑顔だった。どうしてそんなシチュエーションになったのか、今ではくわしく思い出せない。

 

彼女の晴れ着姿はとてもかわいかった。そのあと一緒に入った卒業式で、研究室の女の子に「実は別れてるんだ」といったら大きな声で驚かれた。その時、やっぱりわれわれはやり直したほうがいいんだ、と思った。

 

実は今週末、山梨に行く。また甲信越か。なんだか甲信越が好きだな。渋滞は回避したい。今回はどんな曲を聴いていこうかな。古民家楽しみだな。アルコールは控えようかな。

 

*1:3時間後に同じ空気を吸った