「僕」と「私」と「わたし」の記録

87パーセントはフィクションです

となりのひと

 


 僕の座る席のとなりにきた中年夫婦はやや小難しい話をしていた。少し流し目でみてみるとなんとも小綺麗な格好をしている。おしゃれなおじさんとおばさんだった。

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見ず知らずのひとを、こういうのはなんだが、観察してしまうのは僕の変な癖だ。中二病の類と思ってもらっても構わない、人間観察というのはある程度の度合いを越えると、想像の滑車が止まらない。想像力は自身への内面的な暴力だ。まさに、そんな状況下で、読んでいる本も構わず、メモする手も止めてしまっていた。側から見たら、とても不自然だっただろう。

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  聞こうとしなくても内容が否応なしに入ってくる。それがちいさくともおおきくとも、関係なく、無条件に入ってくる。となりに来たことで僕がイヤフォンを着けたとしたら、その人たちは私たちがうるさいからだ、と判断してしまいそうで変な気を遣わせてしまうかもわかはない。そんな無為な心配をよそに、かれこれ30分くらいは、結果的に、彼らの話を聞き入ってしまった。

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どうやら栄養学について話をしているらしい。共通の友人の体調が良くなく、それを体育学的な、栄養学的見知で治療するとかどうとかの話だった。その光景を見て僕は羨ましく思った。実際には見ていない、聞いているだけなんだが。旦那さんと思しき男性は、奥さんと思しき女性に気を遣いシナモンドーナツを勧める。半分だけもらうわと言い、互いに向き合って頬張っていた。