何を書くか、何を書かないか。

70パーセントはフィクションだと思ってください。

Perfumeについて書く ①

 

 よくネットで新参や古参という言葉を見かける。これは、ネットスラングといわれるもので、アイドルであったり、アニメ関連のやり取りのあいだでよく見かける。前々から愛してきたものは新参者をすぐに受け入れようとせず、古参界隈のテリトリーを深く大切にする。新参者は、簡単には認めてもらえないのだ。そして「サブカルチャー」として発展してきたこの部分文化は、いまや主要な文化になりつつあるので、多くの古参者は変な悲鳴を上げている。

 

 僕は、中学2年の頃からPerfumeが好きだ。どうしてかはわからないが、理由となるものは幾つか思い当たる点がある。中学1、2年と部活に没頭していて、殆ど勉強という勉強をしてこなかった自分は、毎時のテストでもちろんのこと奮わなかった。劣等生であったことは間違いない。身の危険を感じた僕は、母か父に宥められたのかすんなりと勉強しようというモードに入った。その頃、出来振りも見て進●ゼミの入会も許された。やっぱり当時は憧れていたし、それなりに楽しかったんだと思う。(あの商法自体が一種の中毒に近い。)真面目にやればできるじゃん、と寝る間も惜しんで励んでいた僕は、ある晩ラジオをつけた。そこでは、今でも続いている人気番組「スクールオブロック」がやっていて、ちょうど聴いたその日がPerfumeの担当日だった。第一印象はなんか変な人だなというところ。しかし、次第にそのしゃべり方、独特の雰囲気、そして歌の曲調にハマってしまった。ラジオが終わって余韻に浸るや否や、取り留めもなく彼女たちが気になってしかたなかった。今までに感じたことのない抑えられない感情が迫ってきて、それは、はじめましてという感じだった。

 

 確実にその日から、僕の中では彼女たちが中心となって動いており、大袈裟に言うと彼女たちが僕の心臓を動かしてさえいた。そして、その年の暮れにある紅白歌合戦に、Perfumeが初出場で決めた時は運命を感じた。これからずっと応援していけるんだろうな、と。同時に、その年からの紅白は毎年出場者発表を心配する自分もいる。今年も出られるだろうか・・・と。でも、その心配はなかった。初出場は「ポリリズム」。親族揃って眺めている紅白の中、僕は一人で涙を流していた。それは予測できたので、事前に家族たちの後ろ方に下がっておいて良かったと安堵する。たったひとつの歌手グループをテレビの前で見るだけで、涙流せるなんて幸せだと思った。そう、ぼくは下らない幸せがだいすきだ。誰も感じないようなところで、機敏に何かを感じ取り心震わせる。とても得した気分になる。これも、Perfumeに出会うまではなかったことだ。

 

 

 女の子になりたいと思ったことがある。もしかすると、そっちなのかもしれない。少し具体的に言うと、きれいな女の子になりたかった。こんな「普通じゃない」ことも、Perfumeに出会うまではなかったことだ。おじさんが歌詞を書いているのにそれをひとたびPerfumeが歌うとぴったりとハマる。三つくらいピースの外れた未完成のタイルのパズルがキレイに一つの絵になるかのように、恐ろしいほどにぴったりとハマる。加工した声で何が悪い。逆に、純粋で加工されていないものがこの世の中にいくつあるものかと、探してみればわかるだろう。そもそも、マイクを通して声を拡散させる時点でその純粋さは失われているのだ。わかってくれ、と思う。

 

 

 上に書いた古参と新参者のお話。どうしてか、Perfumeには当てはまらない。ファンが優しく寛容だということもある。また、Perfumeというグループそのものの性格がファンにたぶんに影響を与えるため、そうなっているとも言える。本当のどん底からのし上がってきた彼女たちは、一人一人のファンを厚く大切にする。(どん底というと失礼だけどそれくらい厳しいところから這い上がってきた)そして、ファンのために涙を流すことができる。新しいファンが増えると古参は大喜びする。いやはや、もはやPerfumeのファンの間には、その境界線なんてものはないかもしれない。

 

 

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