何を書くか、何を書かないか。

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2021年 10月 17日(日) /目黒とさつまいもと火事

 

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僕はオムライスを、女性は豚汁定食を食べ始めた時けたたましいサイレンが鳴った。その音の大きさからわれわれが入った店の前の小道を、赤くて大きな車体が通ると直ぐに分かった。店にいる誰もが。通り過ぎるかなと思いきや、その大きな車はこの店の目の前ピッタリに停まった。え?え? 店の中から一斉に人が出ようとした。警視庁のジャンパーを着た男が3人、消防団員がざっと6人くらい。まるでその建物を占拠するような感じで雑居ビルの入り口に待機し、何かを話し合っていた。そして何人かの団員が合図をして急いで階段を駆け上がっていき、それはドラマのワンシーンを見ているようだった。店員が慌てて「落ち着いてください落ち着いてください」と店内に向かって叫んだ。店の近くにあるファミマの店員女性がその騒がしいビルをスマホで撮った。ぞくぞくと野次馬が集まった。

われわれ二人は出入り口に一番近い位置にいながらせっせとご飯を食べ続けた。少し戸惑いながらも。「爆風が来たらすみません」「その時はこの豚汁と心中ということで」。そんな冗談は言っていられない状況だったかもしれないけど、僕はオムライスを目に前にし、それを食べ終えないわけにいかなかったんだよね。だってオムライスであるから。鮭とさつまいもが入ったそれにケチャップやトマトは一切使われていない。一般にあるようなチキンライスとはまるで異なったテイストだったのだけど、本当においしかった。切迫感がほんとうに真横にありながらオムライスを食べるというシチュエーションにはなかなかであえないです。「死ぬ直前まで、彼は、オムライスを食べ続けていました・・・」僕の家族や知り合いがそんな形で僕の訃報を知ったらどんな感じになるだろうと思い浮かべてみた。

「実はね、さっきあらい君の向こう側に煙が見えたんだよね。3階くらいのところ。でもあそこ、焼肉屋か何かかなと思って見過ごしてたんだよね。やっぱり火事だったんだ。ははは」「まじか。言ってくださいよ」結局そのあと煙は見えなかったし、もちろん火もたたなかった。こんな大雨の時にも家事は起きるんだと思った。少し焦げ臭い匂いが、その狭い路地一帯に残っただけだった。