何を書くか、何を書かないか。

70パーセントはフィクションだと思ってください。

2月12日(火)

私が大学3年生から現在にかけて4度くらい繰り返して読んだ『ノルウェイの森』(村上春樹)の物語序盤には、中央・総武線沿いがよく出てくる。時代設定は大学闘争のあった1968〜69年頃。主人公ワタナベが想いを寄せる直子と四ツ谷付近で散歩をする場面は春らしく、また学生らしい。あまり上手な想像はできなくて、現在のその風景にイメージの中で登場人物を並べてみる。「そんな風に東京で学生生活を送れたらきっと楽しいだろうなあ」と茨城で思ったものだった。だからいまでもほぼ毎日のように使う黄色とオレンジの路線に近寄るだけで、なんか、ふと学生のころの気分がよみがえる。

そういうことが起きるから東京は好きだ。逆を言えば、そういう思い出補正的なもの・ごとがなければ東京は面白くもなんともない。つまりそれは、いる意味がないという意味にひとしい。