何を書くか、何を書かないか。

70パーセントはフィクションだと思ってください。

よく喋る日だ

 f:id:masa1751:20180201222520j:image

 

★こないだの大雪の日、18時を過ぎた頃に「渋谷 井の頭線」と検索した。画像がたくさん出てきて見てみると、そこには地下鉄とJR線から乗り換える人で、文字どおりごった返していた。時代は便利だな、と感じるのと同時に、撮ってる人は頭が愉快だな、と思った。まだ私は体験したことがないのだが、そこでは「入場規制」というものがなされていて「たまんねえな」と思った。

今日はそれほどではなかったのだが、ホームが人で溢れていた。確か、新宿駅の朝の方がよっぽどひどかった。

ホーム奥の方面には(本当に)もう少し歩けば神泉駅があるのだけれど、人はなかなか奥へ行かず、もう一つの出入り口があるホーム真ん中あたりから改札出入り口にかけて留まっていた。少し経ち、ようやく奥へ進む人がちらほら出てきて私はそれについて行った。

眠そうな人や夜はこれからという人、あるいは禿げた男性が電話をする男性の胸ぐらを掴んでやっかんでいた。私はイヤホンで音楽を聴いていたのでなんと言ったかわからないのだけれども、あれはおそらく「お前さっき蹴ったやろ、ボケナス。ちょっとこっちに来いや」という感じだった。横で一緒に奥へ進もうとするサラリーマン男性が「ちょっとちょっとやめなさいよ、こんなところで」みたいに仲裁に入っていたのがおもしろかった。

私はなるべく、そちらへ目を向けないようにして進んでいった。私は大概、目つきというか表情がよくないため「ガンつけられている」と勘違いされてしまうらしかった。中学、高校の時何度掴み掛かられそうになったことか、挙げたらキリがない。そのたびに当時の僕は「こんな漫画みたいなこと起こるんだ。まあ漫画はよく読まないけど」と内心笑いながら思っていた。本当はそんな余裕はなかった。

ある時そんなくだらないきっかけで殴りかかられたので避けると、そいつは確か、カードで遊ぶゲームセンターの機械にぶつかったのだった。僕はそれが愉快だと思い、そのままにしていたら膝裏を強く蹴られたのでさすがに怒った。「お前が蹴った脚はなんぼのもんか知ってんのか」と、半分笑いながら言った記憶がある。一悶着あったらしかったが、ほとんど覚えていない。というのもそいつは私より頭一つぶん背の低い男だったからだ。

★背後に滑り込んできた電車を一つ見送って、もう一つ側にある電車を待った。目の前の男性がいきなり「ズズズッ」と下がってきたので、何事かと思ったら、駅員が引導する視覚障害者が通るためらしかった。彼らはなぜか私の横に来てしばらく立ち止まり、私のすぐ背後には後ろになかなか下がらない女性が突っ立っていた。きれいな顔立ちをしていたので、あまり悪い気分はしなかった。

彼女は携帯を見たり本を読むわけでもない、ただずっと、私の右肩あたりに視線を送っていた。なぜだかよく分からなかったが、あまり悪い気分がするものではなかった。

右手には駅員の引導する視覚障害者。前方にはなかなか元の位置に戻ろうとしない中年男性。そして背後にはあまりに位置を変えようとせず、私の肩に視線を注いでいる綺麗な女性。左手側を見ると、これまた綺麗な女性が立ちながら眠ろうとしていた。

その姿はまるで、この現代社会に、あるいはあらゆる社会のシステムに対して、必死に抗おうとするもののように見て取れた。一日、お疲れ様でした。