「僕」と「私」と「わたし」の記録

87パーセントはフィクションです

横顔をおもいだす

三日め、息抜き。僕は二十年と少しの年齢で初めて、ポテチとビールがまずく感じられた。とてもショックだった。アサヒだったからだろうか、湖池屋だったからだろうか。ビールに至ってはまるで水を飲んでいるみたいだった。ビールがまずいというのは大変居心地のよくない事である。これじゃあ一日の疲れは吹き飛ぶどころか・・・わりまし。まあいい。神宮前二丁目にあるデンタルクリニックのオーナーらしき男は、決まって八時半頃、外から丸見えの室内のソファで仰け反っている。それもまあ悠々と。いつも目が会うたびに、ザマアミロと思われるようなめつきをしている。気がする。被害妄想だろうか?ところが今日は違った。綺麗なおんなだった。びっくりした。2回ぐらいは見た。あれが奥さんなら私はあの男をなんとか殺めてやりたい。・・・電車で横に座った人間の顔が見えなくてもどかしくなる時がある。結構いつも起こっている。かわいいかそうでないか、、きれいかそうでないかで、、ぜんぜん、、違ってくる、、。今日の隣に座った女は寝ていた。私も寝ていた。気がつくと女の頭は私の肩に乗っていた。私はこういう時、どんな人物にであってもその頭を避けさせようとはしない。大概、じっと待っている。今日も例のごとくじっと待っていた。仕方なく早々に出しておいた「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」を読み始めた。でも気になって仕方がない。ときどき読んでいる箇所が飛んだ。どこを読んでいたか探した。なんとなく私は真正面を向きながら横目で女の顔を見ようとした。しかし見えなかった。目と口が閉じられていることは判別できた。仕方なくもう一度本に視線を戻した。赤羽に差し掛かったころ、なんか脇で動いていると思った。もう一度横目で右側の女を見た。女はしっかりと目を見開いていた。それはまっすぐ向いていた。そして、私の考えていることを読んでいるかのように、さっと目を閉じた。それから4度、まばたきをした。立て続けに、一回一回をとてもゆっくりとまばたきをした。何かの合図だったなら、気づいてやれなくて申し訳なく思う。ごめんね