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ただの記録でしかない、

フィクションか何かだと思ってください、

バスに揺られて

高速バスに揺られている。やはりどうしてもダメだ。昼のもだけど、夜のバスは簡単に眠らせてはくれない。眺める風景はあまり変わらないと思ったが案外変化する。思っているよりずっと。遠くに町の光が見える。近くには民家が立っている。かろうじて照らされる柿の木は一層さびしく見える。夜も更けているので紅葉の色づきを認められない。

仕方なく過去のものを見返していた。出会った当初のを読むと初々しくて目も当てられない。しかしわたしは書いたことを後悔していない。今、都合よく御託を並べれば、出会った瞬間は私はこの人と結婚するだろう、と確信的に思った。感じ取った。新たな期待と予感だけが背中を押してくれた。素性も知らない男が同じ大学に通っているという接点だけの相手に対し、こんな直感を得るなんて「あり得ない」と思うだろうが、これがまったく嘘ではない。事実、仲の良い友人や親には一連のことは伝えていた。*1そうした出会いから始まった直感的なものが、悉く私の目の前でぼろぼろと崩れていくのが見ていられなかった。というのも自分のことなのにまるで他人の事象として事を見ているような、終盤はまさにそんな感じだった。ぷっつりと切れた糸は契約期間が終了したような、後味をいろんな意味で一切残さないような終わり方だった。それが受け容れられなくてまた更に眠りにつくのが遅くなった。前よりもなおさら、余計に眠りにつくのが遅くなった。皮肉なことを言えば、もしかすると私は私たちの思い出と付き合っていたのかもしれない。

*1:かく言う相手の反応は曖昧かつイマイチだったけど