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「この人もおなじ人間だ」

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小さいころからわたしは、ある程度、他人から評価されてしまう環境にいた。野球に興味を持ち始めたのは小三の冬、小四の春には入団した。わたしの代は人が多かった。おそらく過去最高だっただろう。バスケのスポ少の監督はえらく怖かった。「合わないな」と直感してそれ以来足を運んでいない。運ぶ必要がなかった。また別の友人に誘われ少年野球に、「なんとなく」という気持ちで見学に行った。つまりそれは*1わたしにとって消去法的な選択だった。それから野球は、わたしに大変な幸福をもたらした。程度の差はあれ、今に至るまで人から評価を受けることについて疑問なり何なりを抱くきっかけになったと言える。

しかし中学校の野球にはうんざりした。単に、仲間的な人間関係に嫌気が差したわけではなかった。むしろ楽しかった。ただ、監督を務める部活動担当顧問が一年ごとに替わるのと、これはスポ少のころとは違うんだとギャップを思い知らされたところに、野球から離れた原因はあったと思う。

今でこそ、部活動経営の大変さを身に染みて分かり得るが、その頃はまだ知る由もない。

スポ少と部活動では環境が違うにきまっているだろう、と思うだろう。わたしはこの問いに立ち向かうことができず逃げた。逃げざるを得なかった。現在でもしっくりくる言葉でまとめることが出来ない。逃げることを選んだ一方で、評価される、ことについてことごとく深く悩んだ時期だった。しかしいま思い返せば、なにをどうして悩んでいたのかさえ、きちんとはっきり思い出すことができない。それくらい重要ではなかったのかもしれない。

 

世の中には、はたして「ほめられて伸びる」というのがあてはまらない人はどのくらいいるだろう。ほめられて嫌な人が、または育たない人がどこにいるというのだろう。もし、身近にいたら教えてほしい。インタヴューをさせてほしい。

 

対応するのに大変な教官がいる。

「自分の運転についてどう思う?うん、あそこでああいう止まることについて」「まあ、止まってなければぶつかっていますしね」ぶっきらぼうに答えてしまった。「どうして私に指摘されるか分かる?」「いいえ、まったくわかりません。」

たぶん空気の悪さに気づいたんだろう。途端に優しくなったがそれが余計胸がきしむように痛む。この三日、四日「この人もおなじ人間だ」という呪文を何度唱えただろう。とくに効き目はなかった。わたしが悪いに決まっている、わたしが悪いに決まっている、と何度も思おうとした。途端に泣けてきた。とても情けない。教官も疲れてるんだ、次はそう言い聞かせた。だって、路上教習は「自らの生死をかけた業務」であるからだ。

 

先日の教習前半は、

①さきに書いた女性教官②男性教官③さきに書いた女性教官*2だった。このうち②の男性教官はわたしのことをやたらとほめた。ほめたというよりも、念入りに慰めたといった方が適切かもしれない。

十五分ほど乗り教習所からどんどん遠ざかった。教官が「説明します」と言うので山道に差し掛かる手前で路肩に停車した。「じゃあね、あらいくんの運転について少しお話しましょうか」と言い、わたしの適性検査のシートを熟視して、運転席を向いた。

「あらいくんは、人一倍正義感が強くて、きちんとしなきゃ!っていうのが運転にも表れているの」うんうんと肯いた。

「でもね逆にそれが裏目に出ている。」「裏目に出ている」

「というのは、、、(かくかくしかじか)」ブレーキ動作におけるスピードと距離の関係を赤と青のボールペンで 図示し解説した。

やがて説明は終わって車を走らせ、するする山道を抜けていった。まだ山は辛うじて青いが、道端に揺れるコスモスやススキの群れが、これからいっそう深まる秋をこれでもかというくらいに感じさせた。秋を感じた矢先、こっちの山間上部では初雪が観測された。トップの方だけ雪化粧をしたようだった。稲刈りを終えた田畑は茶色い地肌を露出させ、次の耕作を待ちわびているようにみえる。おとといは、道路のど真ん中で烏が死んだ雀をつついていた。

「そんなに慰めてもらうと自分…泣いてしまいそうです。」

「なに言ってんだか、こっちこそあらいくんの成長の瞬間に立ち会えてうれしく思うよう~。」

こればかりは大げさと思うだろうが真実である。本当に涙が出そうだった。米沢の人やさしいよおおおおおおおお

 

 

 

本来ならこれを、四日前に投稿 しようとおもったが寝かせていた。そして永久保存版としてお蔵入りする予定でもあった。だが明日は卒検。その教官を見返してやれるように(どうせ会わないだろうが)頑張りたくて投稿ボタンを押す。

 

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*1:今でこそ言えるけど

*2:Wといって教習生二人で交代で運転をするシステムの運転教習