何を書くか、何を書かないか。

70パーセントはフィクションだと思ってください。

わたしの喜怒哀楽の感情表現が下手くそになったってことなんだよね

おじいさんは、近くに家があるんだけど、一人でアパートの部屋を借りて過ごしてる。真実は知らないけど本人はそう言ってる。諸々の改革を経てつくば市ができる前、わたしの住むここら一帯は昔、葛城村といって、ある程度盛ってたらしい。取りも直さず、田舎の特ちょうでもある十分なだだっ広い敷地をもった立派な家々が並んでいて、通るたびに、「門とかの面積だけでうちの部屋よりもデカイよ」と思っていた。「家にこもってると息苦しいからねえ、一人で借りて住んでるんだ」というお話を聞いてからもう2年半ほど経つけれど、おじいさんの元気発剌な姿は変わってない。とくに、印象に残る出来事が2つある。

ひとつは、ちょうど今頃だったろうか。大雨の予感がした残暑の夕方のことだった。自転車の鍵をガチャガチャしてる時。あの雲がきているからねえ、お兄さんも出かけるなら気をつけなさいよ。という忠告を受けた。いつもどおりベージュのパンツに薄い青のシャツ、そして白い帽子。定番の格好でおしゃれな自転車にまたがってった。大丈夫だろうとかいかぶっていたわたしは見事に夕立に遭い、びしょ濡れになって帰るはめになる。

もうひとつは、眠れない夜のことだった。早朝3時とかだったかもしれない。目が冴えたので、思い立って外に出ると、おじいさんが後ろからやってきた。こんな偶然があるだろうかという不思議さとか、なんで同時に出てくるんだという怖さはあんまりなくて、出会い頭に自然と会話していた気がする。すると、いまからコンビニに行ってお酒を買ってきます。よかったらお兄さんもどうかな?と言うのでなんか申し訳ないから、なら僕も一緒にいきますよ。というと、いやいやいや待ってなさい。とニヤリと笑って言うので、部屋に戻るのも憚られてぽつんとひとり、暗いの道路に佇んでいた。しばらくするとおじいさんは帰ってきて、これどうぞ。飲みなさいな。それではわたしは。といって立ち去った。500mlのアサヒビールと、ご丁寧にさきいかもつけて渡してくれた。てっきりわたしは、その時、道路端に腰掛けてふたりで乾杯し、しばらく会話でもするのかと思ったがそうではなかった。ただわたしのためだけに、お酒を買って、部屋に戻ってしっぽりとやりなさいということだったらしい。また、めったに会うことはなくて、月一度見かけるかどうかなんだけど、次会った時にはお礼をしなきゃと思っていても、それこそなかなか会えるわけではない。さっきもまた、つい言いそびれた。けれどいつも会うと挨拶とそれなりの会話で相手してくれる。笑顔がと気さくさが印象だ。

今日交わした会話は、午前にたくさん雨が降ったので動けなかったがようやく動けた。本ばっかり読んでちゃ身体と脳が腐っちまう、ので頻繁に外に出なきゃならない。ぐるっと一周、自転車で回ってきて小雨がぱらつくので、急いで帰ってきた。本ばっかり読んでてもしょうがないからね。それと、遠い昔のことだけど、大学で数学をやってた。いまの小説はおもしろくない。それは小説が悪いのんじゃなくて、わたしの喜怒哀楽の感情表現が下手くそになったってことなんだよね。

 

だそうです。報告は以上です。