何を書くか、何を書かないか。

70パーセントはフィクションだと思ってください。

電車②

 スイカでタッチし急いで階段を駆け上がったら、ドアが閉まる寸前で車両に滑り込めた。こういうとき「もし入れなかったらどうしよう。めっちゃ恥ずかしいじゃん」という要らんことが頭をよぎって勝負に出ないのがほとんどなので、しっかり目にクールで冷静さを装い、精一杯臨機応変っぽさが出るように振る舞う。つまりは、逃げなのだ。ドアの向こうにいる相手とはめったに道端で会うこともないだろうに強がる。

 「スイカでタッチし急いで階段を駆け上が」ったので、汗が噴き出した。この頃きちんと動いてないからなあ、とまじまじと自分の身体を見つめ恨む。ちょうどよくタオルと水を持っていたので応急処置に取り組んだ。袋に詰めたクリームパンとクロワッサンは駆け上がったときに握りしめたおかげでコンパクトになってしまった。

 わたしが「滑り込んだ」ドアの反対のドア付近に3人の少女が同じ姿勢で向かい合っていた。右手にスマートフォン、背中にはリュックサック、そして頭にはお団子。フォルムが酷似していてつい笑ってしまいそうになった。しかし、息のあがった青年が「滑り込ん」で早々に3少女を見て、にやついているとなると「事案発生」の恐れがある。なるべくわたしは表情筋に気を付けた。

 三人の手元には同じような緑色の画面がちらっと見えた。 それはおそらくラインであった。3人は向き合い、外目から見たら仲良さそうに話している。*1だが仮想空間では、1人に対して相手2人とは異なった誰かとつながっている。わたしはここに、途轍もないもの悲しさを感じた。それがもし、口では話しながら画面の中でも3人が所属するグループで話の輪を存続させているというならはなしは別だが、それにしても異様な光景に見えてしまった。

 

 ちなみに、わたしの地元を走ってる電車は押しボタン式である。新幹線か、バスで帰るとたいていは電車を乗り継ぎ家路につく。ドア付近に位置付いた乗客がボタンを押そうと身構えるのを見ると「帰ってきたなぁ~」と感じる。

自分のターンになると「まばたきしているうちにボタンが緑色に変化し、反応が遅れ、他のドアよりもあけるのが遅かったらどうしよう...」

とかくだらないことを強制的に考えさせられる。あれは一つの責任をとる行動である。はやく全自動にしてくれ。それよりも転落防止用ホーム柵のほうが必要か。なんにせよ、お金がかかるのには間違いない。

*1:きょうあった出来事について?○○くんについて?ごはんのこと?