「僕」と「私」と「わたし」の記録

87パーセントはフィクションです

なつの夜風は二人の会話を止めさせない

ほんとうに今からくだらない話をする

 

 人の死や恋愛について、あとは自己啓発系なんかは、勝手に自分の中で「タブーなもの」だと規範化されていて書きにくいし触れにくい。特に人が死んだ話は、誰も得をしない。けれど、その殻を破ろうとこのあいだ一つ書いた。「パン屋さんになろう - あらいの」。自己啓発系についても、ロム専として見るのは好きだが自分が書くのはどうかと思った。でも、それっぽいのを雑感として描いた。もうひとつ恋愛についてだが相手方のエントリはウケがいいらしい。比較する訳ではないが、わたしの方はおそらく需要がない。でも今回は試みる。タブー視されるゆえんは何なのか、自ら実践してみよう。

 

 

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 うちのマンションの前で高校生の男女がかれこれ30分ほどたわむれている。わたしは一階に住んでいるので、ダイレクトにその声が届くしカーテンの隙間から彼らがみえる。なんだか居住者であるわたしがアウェイさを感じている。下手に覗けないがなんだかとても楽しそうにしている。高校生の頃を思い出してしまったので書こうと思う。

 高校生の頃、複数の女の子と付き合ったがどれもうまくいかなくて関係を破たんさせてった。どちらかといえばフラれる方だった。ほんとうに今からくだらない話をする。

 何人かと付き合ったが駄目だった。駄目だったというのも、ふたりになにかよくない出来事が起こると「どちらかの責任か」と考え始める。おおよそは、向こうのなにかだったんだと思うけれど、変に気を遣ったのかドラマの見すぎか、すべては自分のせいなんだと思った。実際にわたしのせいだったのか知らないが、浮気(結婚なんぞたいそうなものではないが)のような二股は被(こうむ)るほうで3度経験している。

 

 

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 これは誰にも話していないが、後輩にずっと好きだった女の子がいた。ここでもある程度は隠すが本当に好きだった。こんなことを書くと今の相手方がどう思うか想像がつくので、後程深く謝るとしてここではいろんな意味での「タブー」に触れる。

 

 その子とはデートのようなふたりで遊びに行ったりなんかはしていない。食事なんかも二人きりで行ったことはないし、たいていの場合だれかが付随していた。ほんとうに複雑だが、これといった純粋に変なことをしたいという「特別な」感情はなくて、卒業するまでの2年間はおおよそその女の子に想いを傾けていた。

 何かあるとよく話しをした。そのころLINEは発達してなかったのでガラケーで電話をした。バーベキューもした。人間関係について相談を受けたり、夏休みの夕暮れ時はやく学校の門が締まるというのにきゃっきゃ言いながらふたりで水風船合戦をした。びしょぬれになった彼女の髪のしなやかさを今でも覚えている。「水もしたたるイイ女って言って♪」という彼女の生意気さにやられていた。だけど、つらい思い出もたのしい思い出もすべて水に流したかった。すこしばかりたのしさが勝ったので、今ではあの日々もよかったものだと思えてる。

 

 何もかも絶対に伝えてはいけなかった。あの日々においては。そして途中で気づいた。高校生活における思い出というのは特異的で閉鎖的、どうしてか知らないがほんとうに輝いていて極度に青春チック。「思い出補正」が強すぎる。それはおっきなおっきなハコに閉じ込めなければいけないんだと。大人になる自分は想像つかなかったけれど、この思い出をひっぱりだして愉しんでいる自分は想像できた。メタ認知とかわからないけれど、そんな感じだった。これはきっと、今後に生かされる。そう思った。

 こちらにやってくる時、仙台から夜行バスで東京まで行くのだが、その直前までメールでやり取りをした。「すこしばっかり活躍できたのも、ぜんぶ君のおかげだ。」と送ると、「ぜんぶ知ってましたよ♪」と返ってきた。

 

 

 

「わたしたちふたりはほんと単純だから1号と2号で区別しましょう♪」

「んじゃあ〇〇が1号ね。」

「わかりました♪じゃあこれからあたしが先輩だから敬語使ってね♪」

「分かりました1号」

「それじゃああしたはわたしの好きなパンを買ってきて♪」

「」 

 

 

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 ほんとうにわたしたちは、くだらないやりとりしかしていなかったと思う。つくりあげたものなんて何もなかった。でもノスタルジーな感情をすこし理解した21歳には、十分すぎる思い出が残された。予期せずして、意図もせずして残された賜物。賜物っていうのは大袈裟か。窓を閉めていても聞こえてくる若い二人の声に、自分の思い出を重ねてる。

 なつの夜風は二人の会話を止めさせない。ずっと、ずっと、ずっと続けばいいと本気で思ってしまう。

 なんならいまからどっかへと行きたい、行ってしまいたい。でもわたしたちには親がいるから...。二十歳を越えれば、それも自由になるんじゃないかい、と勝手ながら思ってしまう。

 

明日から7月。なつ、本番。

 

 

なつの一曲


東方神起 / Summer Dream