「僕」と「私」と「わたし」の記録

87パーセントはフィクションです

紹介したい

 

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紹介したい本。

著者:佐伯啓思「日本の愛国心 ー序説的考察ー」の序文より以下、その引用。

 

(p.12) 

愛国心について書くのは難しい。一つの理由は、この主題がどうしてもある種の価値判断や 態度選択に迫るところがあるからだ。愛国心という言葉を聴いて全く無関心というならともかく、多少とも関心を持つ者であれば、この言葉に対して全面的に価値中立的、感情中立的というわけにはいかないであろう。

 

どこか身の引き締まる思いを持つ者もいるだろうし、逆にほとんど反射的な嫌悪感に襲われる者もいるだろう。どちらにしても、これほど評価の分かれる観念はそれほど多くはない。愛国心を論じるということは、多少なりとも思想的に踏み絵を踏まされるようなところがあり、それゆえわざわざ、頼まれもしないのに自ら進んで踏み絵を踏もうなどというもの好きもあまりいない。

 

 

 

 

僕は以前から、佐伯氏の著述を産経新聞の欄で何度か見かけていました。その度に、おもしろい書き方だなぁ(おもしろいというのは可笑しいという意ではなく、好みだと感じるおもしろさ)と思っていました。なのでこの本との出会いも、それによって生まれた引き寄せなのではないかと勝手に想像していました。

 

この方の専攻は社会経済史と社会思想史です。書中において重要なことを述べる箇所には「私は近代日本史の専攻ではないが、」という前置きが何度も出てきます。

ご専門にされていないところから述べられると、ある出来事に対し変わった見方でアプローチしているなどが垣間見え、それゆえに様々な学者さんたちの様々な凝り固まった観念から導き出された著述とは一味違うなぁと随所に感じることができ非常におもしろいです。


一見して難しい語をたくさんと羅列させ膨大な文章で説いているように見えますが、その方面に興味関心があるものの大変浅学である僕に対しても、その語一つひとつを丁寧に調べてみればそういう意味なのかと納得できるような、そんな構成になっています。なので僕にとって教科書的な存在と言えます。そんなに沢山のものを読んでいるわけではありませんが、その違いが雰囲気的にわかる気はします。

 

 

 

ここ数時間の間に「安保法案」が参院で可決され成立してしまったため、文章にしてみようと思いました。今もなお続いているその一連の出来事について特に触れようとはしませんが、僕自身もう一度考えてみるきっかけは作りたかったのです。

 

 

いろいろな頭のいい人たちが世の中で騒いでいます。ここぞとばかりに、よくない人とよくない人が噛みつきあいながら、あくる日もあくる日も寝る間を惜しんで泥沼の戦いを繰り広げています。周囲に見せつけているようにも見えます。それについて個人的感情でおもしろいなぁと思うだけなので別に構いません。

ただ、怒ってばかりいるのはエネルギーの浪費だよと言ってあげたいです。

 

 

話は戻って「日本の愛国心ー序説的考察ー」についてもう少しだけ触れます。

正直なところこの本について紹介をしようと思っては何度も踏み留まっていました。

以下は本著の引用です。

 

 

(しかし、)現代日本を舞台にして愛国心を論ずるとなると、書き手自身がある程度の立場選択に直面することになる。

 

 

佐伯氏でさえ以上のように感じている訳で、自身にも思いがけずして「あいつはそっち側の人間なのか」という虚像が、それも知らぬ間に出来上がってしまうのです。影響力の大きさは比べるまでもありませんが、またそれほど気にすることではないとは思うのですが、結構こわいことなので慎重にいました。

 

なので、今は少しだけ勇気を振り絞って書き出しているわけです。

 

 

 

文学者三島由紀夫、思想家福沢諭吉、哲学者西田幾多郎、そして僕の大好きな評論家・文学者の小林秀夫など、一時代を築き上げた著名な知識人が当時捉えていたパトリオティズムや、戦争へ経て身につけた史観などをこの本から知ることができます。


彼らの紡ぎだしていた言葉はとても美しい。

 

今だからこそ読むべきではないか、そう小さく訴えかけたい訳です。実際によそ見ばかりしていて全然読み切れません。ですが必ず、今月末まである夏季休業中には読破してみせます。

 

紹介してみたりちゃっかり持論を展開させちゃったり、また宣言みたいなものまでしたりして混沌とした感じになったのでやめます。少しでも興味を持っていただけると嬉しいです。

 

以上。