何を書くか、何を書かないか。

70パーセントはフィクションだと思ってください。

ディスコ

1度だけ「ディスコ」にいったことがある。こないだの年末年始に仙台に帰った時の飲み会の3次会がそれだった。2次会でいったところで、僕より年下の男の子が世話になっている人に出くわし「きてくれるならよくしてやるよ」と言われて、ぞろぞろといったのだ(なかなかヤクザな方だった)。仙台の歓楽街といえば鳥の名前みたいなあそこである。店に着くなりヤクザな人は綺麗な店員にコソコソいって、チケットみたいなドリンク用の紙切れをごそっともらった。8人が4回分ぐらいずつ飲めたからそれなりだった。

の奥の方では文字通りおじさんとおばさんが身体を近づけあって踊っていた。中には口づけをするものもいた。ミラーボールはやや弱々しかったが、流れる歌がバナナラマ、アースウインド&ファイアー、アバ、ホイットニー、マイケル・ジャクソンビー・ジーズドナ・サマー、クール&ギャング、クインシー・ジョーンズやらで雰囲気はそれなりによかった。僕は、そのディスコが生き生きとしていた時代にもちろん生を受けていないので、ディスコというのは想像の中の世界で化石のようななものとしか思っていなかったが、若者がクラブで踊り乱れる(それは大抵が男が女を捕まえるための場所である)ものとまた違っても清々しいように感じられた。

でもさすがにここには馴染めないと思って、ひろばから離れたカウンター近くの腰の高いイスに座って女子大生の店員と喋っていた。僕がもらった紙切れのうちの2枚を渡して、また自分でも払い結局4度ビールで乾杯した。女子大生は「ビールがだいすきなの」と本当に嬉しそうに言い、僕よりも早くカールスバーグを飲み干した。「早く仕事に戻りたい?」と僕が聞くと、「とんでもない。こうやって飲めるならいくらでもここで座って話していますよ」といった。もし同じような質問をされたら僕もそう答えると思う。

女子大生の顔は僕なりに好みで、周りからは「アライ、お前はあんなのが好きなのか」と言われたけど、それなりに好みの女の子がカウンターに居たんだから仕方ない、と思った。彼女はついこないだカレシと別れたばっかりでって話をしたが、その彼は聞いてみると僕が色々この店の仕組みとか、どんな風にやっているのかを尋ねて答えてくれた男子だった。とても綺麗な顔をしていた。

彼によるとこの店は22時までディスコとして運営し、それ以降は朝5時までクラブとして営業しているとのことだった。僕らは結局21時半から23時まで居たが、クラブとディスコの違いがわからなかった。強いていえば、クラブと違って人が少なく、音量も耳が痛くなるほどバカうるさくなく、客の年齢層が高く、選曲が古風なものだった。当たり前のことだけど。彼女は僕の帰り際に「やっぱり交換しませんか?」と言って通信アプリの画面を見せた。「彼が怒らないかな?」と僕は心配して聞くと、大丈夫。彼は私に興味ないから、と言って結局交換した。一つ不思議だったのは、そこには僕と同じくらいの男子や女子もいて、自ら自分より年齢の高い人に近づいて踊るのを求めに行っていたことだった。

あのカウンターの女の子かわいかったな。付き合って半年で4度付き合って別れてを繰り返しているらしいから、今度行った時もおそらく別れているに違いないと推測する。そして、また同じフロアにいるカレシの脇でこっそりビールで乾杯することになるに違いない。常にせわしなくギラギラしてるこっちと違って、なかなかいいところだったな、あれは。